ブロガーのモチベーションのひとつにPV数(アクセス数)があります。
一般的にPV数が多いブログほど価値があるとみなされ、
世間からも評価される傾向があります。
確かに読者は少ないより多いに越したことはありません。
もしあなたが趣味でブログを運営しているなら、
PV数をゴールにするのはまったく問題ありません。
しかし、もしブログの収益化を考えるのであれば、
PV数をゴールにするのはナンセンスです。
来店数はめちゃくちゃ多いのに、全然商品が売れない店は果たして価値があるでしょうか?
僕はこのブログで何度か「アクセスは質が重要である」と述べてきました。
アクセスの質を意識せずにむやみやたらにPV数を増やしても、
ザルに水を流しているようなものです。
自分でビジネスをしていてブログを「 収益媒体」ではなく、「集客媒体」にしている人は、このアクセスの質をしっかりと理解しています。
しかし、ブログで収益化が完結している人はPV数ばかりにこだわり、
アクセスの質についてはほとんど意識していません。
特にグーグルアドセンスの収益に関しては、
アクセスの質を意識せずにPV数ばかりを増やすと命取りになるので注意が必要です。
手段と目的
人間は往々にして手段と目的を混同してしまいます。
外資系企業に就職することが目的で英語学習を始めた人が、
いつの間にか英語学習が目的化してしまっているようなものです。
外資系企業に就職するなら手段は英語以外にもいくらでもあります。
ブログも同じで、PV数を増やす理由はその先に別の目的があるからです。
PV数だけ多くても1円も稼いでいないのなら収益化は失敗したと言えます。
Twitterでは「フォロワー○○人達成!」みたいなツイートをよく見かけます。
もしその人の目的が「フォロワーを増やす」ことであれば、
フォロワーの人数を指標にすることは何も問題ありません。
しかし、その先に別の目的があるなら、
フォロワー数を目的化するのは無意味です。
たまにフォロワー5000人なのにいいねが1件とかしかついてない人がいます。
もし、その人の目的がTwitterで収益化もしくはフォロワーとの交流だったとするならば、この人の戦略は失敗に終わったことになります。
なぜなら、まったく属性の合わないフォロワーばかりを集めてしまっているからです。
ブログのPV数にこだわるのもこれに近いものがあります。
ファンを増やしたいなら「はてなブログユーザー」を増やす
もしあなたの目的が「自分のファンを増やす」ということであれば、
はてなブログユーザーをターゲットにしたほうがいいです。
なぜなら、はてなブログユーザーは検索エンジン経由のユーザーよりもファンになりやすいからです。
多くの個人事業主がWordpressでなくアメブロを集客媒体にしているのは、
アメブロ読者と属性が合っているからです。
ただし、BtoCのような法人相手のビジネスの場合は、アメブロは属性が合わず検索エンジン経由のユーザーをターゲットにする必要があります。
このことをまったく意識せずに、適当に集客媒体を選択してしまうのは、
魚のいない釣り堀に釣り糸を垂らしているようなものです。
アドセンス収益化は、はてなブログユーザーを増やしすぎると逆効果
海外のアドセンス専門家は独自のコーディング技術を駆使して、
検索エンジン経由以外のユーザー(SNS経由など)にアドセンス広告が表示されないような設定をしています。
その理由は単純です。
検索エンジン経由以外のユーザーが増えると収益が減るからです。
100%ではないので、正確に言うと「収益が減りやすくなる」ということになります。
だからわざわざ面倒くさい手間をかけてまで、検索エンジン経由のユーザー以外に広告が表示されないようにしているのです。
なぜ検索エンジン経由以外のユーザーが増えると収益が減るのでしょうか?
その理由は3つあります。
①クリック単価の低い広告が表示されやすくなる
Google Adsenseの広告の表示形式は2タイプあります。
コンテンツ形式とパーソナライズ形式です。
コンテンツ形式とは、コンテンツの内容と合致した広告が表示される広告タイプのことです。
車の保険について記事を書けば、車の保険の広告が表示されるといったような感じです。
クリック単価の高い広告を狙うには、この「コンテンツ形式広告」を意識した記事を書かなければなりません。
一方パーソナライズ広告とは、ユーザーの興味関心に合わせた広告が表示される広告タイプのことです。
車の保険の記事を書いたとしてもユーザーがゲームに興味があったとしたら、
ゲームの広告が表示される可能性があるということです。
ここで話を戻します。
検索エンジン経由のユーザーは、必ずキーワードを入力してあなたのブログにたどり着きます。
そしてそのキーワード(クエリ)はその人のパーソナルデータとしてGoogleに保存されます。
「車の保険」というキーワードで検索するということは、
車の保険に興味関心があるということです。
つまり、コンテンツ形式だろうがパーソナライズ形式だろうが、
かなりの高確率で車の保険の広告が表示されるということです。
一方SNSやブログサービス経由のユーザーは、何か調べたいことがあってあなたのブログを訪れるわけではありません。
彼らの目的は「ブログを読むこと」です。
そのため、興味や関心も人によりまちまちです。
したがって、表示されるパーソナライズ形式の広告も人によって違うということになります。
もしコンテンツ形式の広告が表示されたとしても、
そもそも「車の保険」に興味がないのだからクリックされる確率は極めて低いです。
②スマートプライシングが起きやすくなる
スマートプライシングについての説明は省きますので、
詳しい内容を知りたい方はこちらの記事を読んでください。
検索エンジン経由のユーザーは、かなりの高確率で表示されたアドセンス広告と属性が合っているユーザーです(理由は前述)。
そのため、アドセンス広告をクリックする確率(CTR)だけでなく、商品を購入する確率(成約率)も高いです。
成約率が高い広告枠ほどクリック単価は高くなります。
逆にクリックはされるけど、全然商品が購入されない(=成約率が低い)広告枠は、
スマートプライシングの対象としてペナルティを受ける恐れがあります。
SNSやブログサービス経由のユーザーは、たとえ広告をクリックしたとしても商品に興味がないので成約率は低くなります。
したがって、スマートプライシングが起きやすくなります。
③広告枠の価値が下がる
クリックされない広告は存在しないのと同じです。
そんな広告枠に出稿したいと考える広告主はいません。
今回の文脈と状況が違いますが、
広告枠の価値が下がるとはこういうことです。
例えば、あなたのブログの読者比率がはてなユーザー9:検索エンジン1だった場合、
ほとんどのユーザーは広告をクリックしないことになります。
特にはてなユーザーやSNSユーザーは定期的にあなたのブログを訪れているので、
広告配置にも慣れています。
そういう人が継続して広告をクリックする見込みは低いです。
自分のブログ読者の9割がクリックしない広告は、
価値の低い広告枠とみなされても仕方ありません。
(成約率が高ければ別ですが)
まとめ
PV数を増やすときは自分の目的を意識したアクセスアップを考えないといけません。
意識的にこのバランスを調整するのはかなり高度なテクニックが必要になりますが、
やみくもにアクセスを増やすことをやめるだけでも、アドセンスの収益アップにつながります。
CPM広告であればクリック数は関係ないので、
はてなブログユーザーやSNSユーザーが多くても収益は増やすことができます。
ちなみに質の低いトラフィックが増えれば増えるほど、
ユーザーエンゲージメントが低下するので、
検索エンジンからの評価も下がる可能性が高くなります。